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ITIL V3とは?
ITILとはITサービスマネジメント(ITSM)を提供する上で採用可能なベストプラクティスとプロセスで構成されるフレームワークです。1980年代に最初に発行されて以来、ITILはITSMを提供するために組織で最も広く使用されるフレームワークの一つとして活用されてきました。このフレームワークでは、費用対効果を重視しつつ、効果的なサービス提供を行うことで顧客満足度を向上させることを重視しています。
ビジネス要件の変化に対応するため、長年にわたって様々なITILのバージョンがリリースされてきました。ITILベストプラクティスフレームワークの第三版であるITIL V3は2007年にリリースされました。ITIL V3は2011年に更新されており、ITIL2011 V3とも呼ばれています。この最新バージョンは、ITサービスマネジメントをビジネス要件により適合させるための戦略的要素を含んでおり、今日のビジネス環境により適しているといえます。
ITIL V3の基本
ITIL V3インシデント管理
今日のビジネス環境では、障害なくシームレスに業務を遂行することが不可欠です。組織内のサービスに予期せぬ障害が発生した場合、生産性が低下します。ITIL V3インシデント管理プロセスでは、効果的なインシデント処理とインシデント解決のための一連のベストプラクティスを採用し、ダウンタイムを最小限またはゼロに抑えてスムーズなビジネス運用を実現します。
ITIL V3変更管理
いかなる組織でも変化を避けることは出来ません。テクノロジーは絶えず変化しており、入れ替える必要性があります。また、既存のソリューション/アプリケーションをアップグレードする必要も出てくるでしょう。ITIL V3では 変更管理と呼ばれる一連のベストプラクティスを提供し、変更の効率的な処理・優先付け・展開を実行します。変更管理を効果的に利用して、ダウンタイムを回避しましょう。
ITIL V3問題管理
問題管理チームは、根本原因分析(RCA)を実行し、繰り返し発生するインシデントの恒久的な修正または回避策を見つけます。重大なインシデントの発生を回避するには、効果的なコミュニケーション戦略を持ち、プロアクティブなアプローチに従うことが推奨されます。問題とは、原因が不明な1つ以上のインシデントのことです。問題管理では、解決策が不明な既知のエラーデータベース(KEDB)が保持されます
ITIL V3フレームワーク
ITIL V3は、サービスストラテジ・サービスデザイン・サービストランジション・サービスオペレーション・継続的サービス改善の5つのセクションで構成されています。各セクションの内容を見てみましょう。
- 戦略の生成
- 財務管理
- 需要管理
- サービスポートフォリオ管理
ITILサービスデザイン
このセクションは、組織のビジネス要件に対応する上でのアーキテクチャ、プロセス・ポリシー・ドキュメントで構成されるITサービスのデザインを決定します。サービスデザインには7つのプロセスが含まれます:
- サービスカタログ管理
- サービスレベル管理
- 可用性管理
- キャパシティ管理
- ITサービス継続性管理
- 情報セキュリティ管理
- サプライヤー管理
ITILサービストランジション
ITILサービスのトランジション段階では、組織の変更が展開された際にサービスの現在の状態を損なわないようにします。サービストランジションには、次の7つのプロセスがあります:
- トランジション計画とサポート
- 変更管理
- サービス資産および構成管理
- リリースおよび導入管理
- サービスの検証とテスト
- 評価
- ナレッジ管理
ITILサービスオペレーション
ITILサービスオペレーションは、企業がお客様の要件を確実に満たす上で不可欠です。この段階は、日常的な運用タスク・監視インフラストラクチャ・関連サービスのシームレスなフローを確保するためのプロセスと機能で構成されています。サービスオペレーションには次の5つのプロセスがあります:
- イベント管理
- インシデント管理
- 要求実現
- 問題管理
- アクセス管理
ITIL継続的サービス改善
ITIL継続的サービス改善では、サービスプロセスが一貫して改善されることを保証するために、厳格な品質チェックが行われます。継続的サービス改善には次の3つのプロセスがあります:
- 7つの改善プロセス
- サービスの測定
- サービスレポート
ITIL V2とITIL V3の違い
基本的に、ITIL V3またはITIL2011は、ITIL V2の運用プロセスとベストプラクティスに基づいて構築されており、今日のビジネス環境に合わせてITサービス管理がより包括的になるよう設計されています。2000年代に設立されたITIL V2は、よりプロセスに重点を置いていました。
ITIL V3は、以前のバージョンに含まれていた5つのライフサイクルパブリケーションを保持しています。ただし、ITIL V3には非常に重要なアップグレードがあります。ITIL V3では、戦略的要素に重点を置いており、ITSMをビジネス目標に一致させることに重点を置いているのです。ITIL V3と、旧バージョンであるITIL V2との違いを詳しく見てみましょう。
ITIL V2 | ITIL V3 |
---|---|
ITIL V2はプロセス指向で、組織とITSMアプローチをモデル化したもの | ITSMに対するサービスライフサイクルアプローチの重視 |
ITIL V2ではプロセス領域はグループ化 | 各プロセスにおける役割と責任を明確に定義 |
7冊のコア書籍 | 5冊のコア書籍 |
ITIL V2には1つの機能と10のプロセス | 4つの機能と25のプロセス |
ITIL V2のプロセスは効率的で費用対効果に優れている | ここでのプロセスは、効率的で費用対効果が高いだけでなく、サービスアプローチを戦略的に重視することを目的としている |
ITIL V3認定
ここ数年ITIL V3の人気は大幅に高まっており、ITSMプロセスのシームレスなフローを確保する上で広く使用されている方法の1つとなっています。ITIL V3は世界中で広く受け入れられており、人気の高さから、ITIL V3認定はIT業界で最も求められている認定の1つにもなっています。前述のように、ITIL V3は現在のビジネス要件により適合しており、ITIL V3認定は次の5つのレベルを完了した後で取得できます:
ファンデーションレベル
これは、ITILサービスライフサイクルにおける基本的な用語と概念、異なるライフサイクルステージ間の相互作用、およびITSMに採用されているプロセスに関する一般的な知識を提供する初心者レベルの認定です。
プラクティショナーレベル
ITIL認定レベルの第2段階は、プラクティショナーレベルです。このレベルでは、ITIL認定の取得候補者に、ITILを採用して維持するための能力を提供します。
インターメディエイトレベル
ITサービス管理に重点を置いたモジュールレベルで、インターメディエイトレベルとしてIT業界で認定されています。
エキスパートレベル
エキスパートレベルの認定を取得した候補者は、ITIL V3の優れたベストプラクティスのスキルを実装し、ITIL V3のプロセス全体に関する詳細で深い知識を持っていると言えます。
マスターレベル
ITIL V3のマスターレベルにおける認定を取得しようとしている候補者は、ITIL V3に関する知識を適切に実証し、ITIL V3がITサービスマネジメントに実装された実際の業務において達成された成果を含むサポート文書を提供する必要があります。
ITIL V3ファンデーション
ITIL V3ファンデーションは、ITIL V3マスターを目指す候補者へ提供される最初のレベルの認定です。ITIL V3ファンデーションレベルでは、ITIL V3の用語・基本的な定義・概念の全体的な理解を提供します。
ITIL V3ファンデーションレベルは、次のような目標をもつ候補者が取得できます:
- ITIL V3フレームワークに関する初心者レベルの知識の習得
- ITIL V3フレームワークに基づいてITSMを実装する方法の理解
ITIL V3ファンデーションレベル試験の形式
この認定は、ITILプロセスについて学びたい方であれば誰でも取得でき、受験資格はありません。これにより、ITプロフェッショナルとしてキャリアをスタートさせることが可能です。ITIL V3ファンデーションレベルの試験を受けるための前提条件はありませんのでご安心ください。試験の形式は以下の通りです。
- ファンデーションレベルの試験は40の選択問題で構成され、このレベルをクリアした候補者には2単位が授与されます。
- ITIL V3ファンデーションレベルの認定を取得するには、最低65%(26/40)の正解率が必要です。
- ITIL V3ファンデーションレベルの試験は、持ち込み禁止の試験であることにご注意ください。
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