デジタルツールを導入すれば、SLA基準に沿って運営できるだけではなく、案件割り振りや後処理業務が効率化できます。コールセンターサービスは、顧客満足度を左右するものです。そのため、安定的な品質と対応力を維持しましょう。
品質と対応力を維持するためには基準を設けて、サービス利用者に合意をもらう必要があります。その際に活用する基準が『SLA』です。
- SLAとは何なのだろうか?
- SLAを設定するメリットは何なのだろうか?
- コールセンターのSLAは、どのように設計するのだろうか?
この記事では、SLAの定義から項目の設定方法まで詳しく解説します。
SLAとは
SLA(Service-Level Agreement)で、サービス提供事業者とサービス利用者の間で締結するサービスレベルの合意を示します。どの程度のサービス品質を保証するかを約束するために締結するものです。
約束が果たせなかった場合は、契約金額の範囲内で減額申請が行えます。このようなSLAを締結しておくことで、サービス利用者に安心感が与えられます。
SLA・SLO・SLIの違い
SLAと間違われやすい専門用語として『SLO』や『SLI』があるため、違いについて理解しておきましょう。
SLA(Service-Level Agreement) | 保証されるサービスレベル (※基準値を超えなければペナルティが課せられる) |
SLO(Service-Level objective) | 目標とするサービスレベル (※基準値を超えなくてもペナルティが課せられない) |
SLI(Service-Level Indicator) | 測定したサービスレベル (※ペナルティが発生していないか確認するための指標) |
SLAで明確にできるもの
SLAを締結すれば以下の5つを明確に示せるため、取引上のトラブルを防止できます。
◆SLAで明確にできるもの
- サービス内容
- サービス提供範囲
- サービス品質
- 運営ルール
- 保証範囲
SLAの5つのメリット
次にSLAの5つのメリットについて解説します。
1.責任範囲が明確にできる
提供するサービス内容と責任範囲を明確にすることにより、顧客にサービス品質を約束できて信頼関係の構築ができます。
サービス内容と責任範囲が不明瞭だと、利用者の勝手な思い込みや高い理想により、トラブルを招いてしまう恐れがあるでしょう。このようなトラブルの防止ができることがSLA締結の魅力です。
2.説明責任の根拠となる
サービス提供では、不測の事態が起きる恐れもあります。このような事態が起きた場合の対応方法について明記しておけば、事項に沿った説明責任が行えます。サービス利用者も納得しやすくなるでしょう。
3.競合他社と差別化できる
SLAはサービス内容と責任範囲、保証内容を記載した書類です。SLAの有無により、競合他社との差別化ができます。
とくに、サービス利用者側は品質基準と保証が明確にされていれば安心できるでしょう。そのため、競合他社より優位性を持たせる目的でSLAを設定することもあります。
4.信頼関係を構築できる
SLAを締結することにより、サービス内容と責任範囲、保証内容が明確になります。これらの項目を明確にしなければ、サービス利用者は品質や対応に過度な期待をしてしまうかもしれません。
期待と実際の差が大きくなれば、顧客は不満が募り信頼関係が崩れてしまいます。サービス事業者とサービス利用者の間で信頼関係を構築するためにも、SLA締結は効果を発揮します。
5.保証範囲を明確にできる
SLAで責任範囲を明確にしておけば、不測の事態が起きたときの補償範囲を明確にして対応できます。トラブルが発生した場合は、サービス事業者とサービス利用者側で揉めてしまいますが、保証範囲を定めておくことで衝突が避けられます。
コールセンターのSLA項目
SLAの定義やメリットについて解説しましたが、コールセンターで取り入れる場合はどうすれば良いのでしょうか?ここでは、コールセンターのSLA項目をご紹介します。
サービス品質
コールセンターは顧客からのお問い合わせに対応する部門です。顧客満足度は、電話のつながりやすさなどが大きく関与します。このようなサービス品質を保証する指標として『応答率』『SL』があげられます。
応答率 | 入電数に対してオペレーターが電話を取り対応した数の割合 |
SL | 一定時間内に着信に応答できた割合(※多くの企業では着信から20秒以内の応答、達成率80%以上を目標に定めている) |
応対の品質
コールセンターのオペレーターの対応力も重要です。応対の品質の指標には『モニタリングスコア』『一次解決率』『ミス率』があげられます。応対の品質が高ければ、顧客満足度を上げられるため品質担保を意識しましょう。
モニタリングスコア | SVがオペレーターのモニタリングを行い、コール品質を評価したもの |
一次解決率 | 最初の入電で顧客の抱えている課題を解決できた割合 |
ミス率 | オペレーションのミスが発生した割合 |
生産性の指標
サービス品質や応対品質を担保するためには、生産性向上は欠かせません。そのため、コールセンターの生産性の指標を定めておきましょう。生産性の指標には『CPH』『ATT』『ACW』『AHT』『稼働率』があげられます
CPH(Call Per Hour) | 1人のオペレーターが1時間で対応したコール数 |
ATT(Average Talk Time) | 1コールの平均通話時間 |
ACW(After Call Work) | 1コールあたりの後処理に発生した平均時間 |
AHT(Average Handling Time) | 1コールに必要な平均処理時間 |
稼働率 | 就業時間中に顧客対応業務に充てられた割合 |
コストの指標
コールセンターを運営するためには品質担保だけではなく、コスト管理も必要不可欠です。そのため、運営コストの指標も立てておきましょう。コストの指標には『CPC』があります。
CPC(Cost Per Call) | 1コールにかかるコスト |
保証金額
SLAの文書内には、保証金額についても記載をしておきましょう。保証金額はサービス利用料金を上限額として定められることが多いです。サービス利用者が気になる箇所のため明記しておきましょう。
SLAの注意点
コールセンターのSLA項目をご紹介しました。各項目を設定する場合は、下記の点に注意をしましょう。
設定項目は数値化できるものにする
SLA作成時は、数値化できる項目を設定してください。例えば、SL(一定時間内に着信に応答できた割合)は20秒以内、80%以上実現すると定められているケースが多いです。
このように客観的に判断できる項目を設定することにより、SLA契約の通りにサービスが提供されているか判断できます。数値化(定量化)できない曖昧な項目を設定することはトラブルに繋がるため控えましょう。
災害時など例外事由を設定しておく
SLA契約通りの対応できなかった場合の対処法を明示しておくことで、お客様も安心できます。
しかし、災害時など不測の事態で対応できなくなる場合もあるでしょう。このような不測の事態に備えて、災害時など例外事由を設定しておき、サービス利用者から合意を得ておくと安心・安全です。
適正範囲をSLAに定めておく
SLA項目には適正範囲の数値を定めましょう。目標数値ではなく適正数値を記載してください。
過度に高い数値を上げてしまうと、基準を満たすことができずにサービス利用者からも信頼を失います。そのため、安定的に実現できる適正数値を定めるようにしましょう。
【速報】SLA基準で案件を割り振れるシステムが登場
コールセンターのSLA基準を満たすためには、設定した基準通りに運営していく必要があります。
しかし、コールセンターは、案件管理や割り振り、後処理に時間がかかることが多いです。とくに、案件の割り振りはSLA基準に沿って行う必要があります。お問い合わせから解決までの時間が延びると、顧客満足度も低下するため気をつけなければいけません。
近頃は、SLA基準で案件を自動的に割り振れるデジタルツールが登場しています。SLA項目に数値を設定しておけば、システムが自動で案件を割り振りしてくれる便利なツールです。1時間毎に案件を自動スキャンして、対応遅延などないかを自動検知してくれます。
SLA基準で案件が割り振れるヘルプデスクツールFreshdeskの詳細に関しては「Freshdeskとは?導入事例からメリットまで徹底解説」をご覧ください。
コールセンターDXなら『Freshdesk』
コールセンター部門は、顧客満足度を左右します。そのため、SLA基準を明確にして安定的なサービスを提供することが求められます。 SLA基準に沿ったコールセンターを実現するためにデジタルツールを導入するDX推進の動きが高まってきています。
さまざまなデジタルツールが存在しますが『価格面』『機能面』『セキュリティ面』でご満足して頂けているツールが『Freshdesk』です。ぜひ、SLA基準に沿ったコールセンター運営をしたい方は『Freshdesk』をトライアルで試してみてください。
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